大判例

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大阪高等裁判所 昭和52年(ネ)990号・昭52年(ネ)1040号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

YがX1の妻Aと不倫な関係に入り、AがX1とその間の子であるX2X3X4を捨ててYのもとに走つたので、X1らの平穏で安定した家庭生活が破壊された。そこで、X1X2X3X4がYに慰藉料の請求をした。

【判旨】

二思うに、婚姻及び家族制度の機能とこれに関する憲法、民法などの規定の趣旨に鑑みると、夫婦とその未成熟子からなる家族にあつて、各人は他の家族と共に平穏に幸福な家庭生活を営むべき法の保護に値する利益を有し、第三者がこれを違法に侵害するときは不法行為が成立するものと解すべきである。そして第三者が妻と不倫な関係を結んで当該平和な家庭を破壊したときは、夫の守操請求権、未成熟子の身上監護請求権の侵害を理由とするだけでなく、夫または未成熟子の前記精神的利益の侵害をも理由として不法行為の成立を肯認しうると解するのが相当である。してみると未成熟子に対して第三者が害意を持つなど第一審被告が主張するような特別の態様の侵害行為がなされたときに限つてのみ、不法行為の成立を認めるべきものと解すべきではない。

これを本件についてみると、前記引用にかかる原審認定事実によれば、第一審被告は、少くとも、Aに加担して違法に第一審原告らとAとの平穏で安定した家庭生活からAを離脱させてこれを事実上破壊、破綻させ、第一審原告らがそれまでの平穏で幸福な家庭生活を営むことによつて享受してきた精神的利益を侵害したものと認められるから、Aとの共同不法行為者として第一審原告らに対しその被つた精神的苦痛による損害を賠償すべき義務を免れない。

第一審被告は、Aはその自由意思で第一審原告らとの家庭から離脱したものであり、また同女は現在でも子に対する愛情を失つていないから、第一審被告が損害賠償義務を負ういわれはない、と主張するが、独自の法律見解に立脚するものというべく、採用しえない。

三以上の諸事実によると、第一審被告がAに加担してなした不法行為によつて、第一審原告らは永年にわたる平穏で安定した家庭生活を破壊され、これにより筆舌に尽し難い程の精神的苦痛を被つたであろうことは経験則上容易に推認されるところ、第一審原告らの年齢、性別、社会的地位など本件に現われた一切の事情を斟酌すると、その慰藉料としては、第一審原告X1につき五〇〇万円、その余の第一審原告らにつき各一〇〇万円をもつて相当と認める。

(山内敏彦 田坂友男 大出晃之)

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